Taku's Blog(翻訳・創作を中心に)

英語を教える傍ら、翻訳をしたり短篇や詩を書いたりしたのを載せています。

The Only Way to Fight Hate (TIME誌の記事より翻訳)

以下は、Nancy Gibbs氏による"The Only Way to Fight Hate"(「憎しみと闘う唯一の道」)と題された文章の翻訳です。2018年11月1日のTIMEの記事です。(November 12号に所収)以下のリンクでも原文が読めます。 http://time.com/5441420/gibbs-beyond-hate/ …

Is it acceptable to keep animals in a zoo?

Since I was a little boy, I have been to zoos many times. As a child, I learnt how diverse the animal world is, as well as how affectionately each life should be treated. As I grew up, I came to understand that zoos play an important role …

汽笛

日の高い、四月の終わりの昼間、大きな本屋で女の手頸に傷口がある写真を見た。写真には二十代半ばと思しき痩せた裸の女の左半身が映っていて、手頸の上部に抉ったばかりのような紅色の深い裂目があった。私はすうっと女の手頸から腕へと、肩へと、小さな乳…

人生に疲れてたばこをやめることにしたおじさんが カラカラカラと飴を口の中で鳴らしている。 おじさんには小さな娘さんがいる。 百色の色鉛筆よりもふしぎな色をした よろずの色の飴袋から 大切に一粒ずつ、 大きな粒を小さな口に頬張っている。 奥さんは …

眠り続ける

幼かった時分の夏の記憶。 私は、遠くにいる母を、おうい、おういと呼んだのに 声は、母に届かず消えてしまう。 黄色い太陽の下、私は半泣きで、 声が届かぬ意味を解せなかった。おとなになって、 私がいつも思うのは黄色い太陽。 眩しい朝日は ばかばかしく…

Essay Practice: Euthanasia

数週間前に僕が書いた英文エッセイで、公開せずに眠っていたものです。テーマは安楽死です。賛成の立場で書いています。(語学面で)自分の生徒の模範となるように書きました。論拠は、生徒の思いついたものの域を出ていません。もちろん哲学的な議論には程…

対訳版 オバマ大統領 広島演説

LIVE: Obama speaks at Hiroshima memorial 以下は2016年5月27日、アメリカ合衆国大統領バラク・オバマ氏が広島を訪問した際の演説の全訳である。原稿にはザ ・ニューヨーク・タイムズの記事、"Text of President Obama’s Speech in Hiroshima, Japan"を用い…

全訳 オバマ大統領 広島演説(和文のみ)

LIVE: Obama speaks at Hiroshima memorial 以下は2016年5月27日、アメリカ合衆国大統領バラク・オバマ氏が広島を訪問した際の演説の全訳である。原稿にはザ ・ニューヨーク・タイムズの記事、"Text of President Obama’s Speech in Hiroshima, Japan"を用い…

全訳 The Spoils of Happiness

The New York Timesに掲載された、哲学者David Sosaによる"The Spoils of Happiness"と題された論説の全訳です。「幸せとは何か」という問題が、ある思考実験を手がかりに考察されます。記事がネットに公開された日付日時は、2010年10月6日午後7:30です。 Th…

History and Literature vs Science and Mathematics (English Essay Practice)

Do you agree or disagree with the following statement? It is more important for students to study history and literature than it is for them to study science and mathematics. Use specific reasons and examples to support your opinion. At sc…

即興詩 桜

二十年前、父は末期の癌だった。 遠い山並に小さく満開の桜を見やり、 「今年の桜が最後か」と言った。 その年の六月、父は逝った。 爾来、わたしは桜を見るたび、 鼻の奥がつんとするような哀しみを憶えてきた。 しかし。 わたしが三十を過ぎた頃からだろう…

岡真理『記憶/物語』(2011年2月14日に執筆)

あしたのための声明書|自由と平和のための京大有志の会 http://www.kyotounivfreedom.com/manifestofortomorrow/ … ひとりの国民として、強く支持する。 発起人のひとりである岡真理さんの著作『記憶/物語』には、数年前に圧倒された。現在、最も信頼でき…

地球規模の慈善事業と資本主義の妖しき蜜月(The dark alliance of global philanthropy and capitalism)

2015年12月1日付けで発信された、アル・ジャジーラのオピニオン欄の翻訳です。2000字を超える、やや長めの文章ですので、お時間のあるときにどうぞ。原文はこちら。→The dark alliance of global philanthropy and capitalism - Al Jazeera English 慈善事業…

シェイラ・ヘティ 『わたしの生は冗談』

THE NEW YORKER MAY 11, 2015 ISSUE に掲載された、MY LIFE IS A JOKE BY SHEILA HETI の翻訳です。http://www.newyorker.com/magazine/2015/05/11/my-life-is-a-jokeわたしが死んだとき、それを見ているのは、周りに誰もいませんでした。それは、全然構いま…

アティーク・ラヒーミー『悲しみを聴く石』

悲しみを聴く石 (EXLIBRIS)作者: アティークラヒーミー,Atiq Rahimi,関口涼子出版社/メーカー: 白水社発売日: 2009/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (12件) を見るすごい小説だ。日本ではほとんど知られていない作家であろ…

マリオ・バルガス=リョサ『若い小説家に宛てた手紙』

若い小説家に宛てた手紙作者: マリオバルガス=リョサ,Mario Vargas‐Llosa,木村栄一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2000/07メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 23回この商品を含むブログ (29件) を見る若い、小説家志望の人に手紙を通して語りかけるという…

矢部宏治『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』

日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか作者: 矢部宏治出版社/メーカー: 集英社インターナショナル発売日: 2014/10/24メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (31件) を見る著者はこの分野の専門家ではないが、多くの公文書や国内…

安部公房『砂の女』 

砂の女 (新潮文庫)作者: 安部公房出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/03メディア: 文庫購入: 19人 クリック: 197回この商品を含むブログ (339件) を見る 安部公房の『砂の女』を再読した。 昆虫採集を趣味とする、教師である男がいた。かれは、砂に惹かれ…

TIME誌 Jan. 20, 2014カバー ジャネット・イエレン 16兆ドルの女性

今週のTIME誌のカバーストーリーは、第15代FRB議長になるジャネット・イエレンについての特集です。(以下リンク先)FRB創設101年目にして、初の女性議長です。http://content.time.com/time/subscriber/article/0,33009,2162267,00.html 現在、米国の失業率…

東京新聞に応募した「300字小説」です。

東京新聞に応募した「300字小説」です。この長さだとほとんど何も書けないんだけれど、たまに挑戦してみたくなります。 ――――― かれは、生ぬるいビールを嚥下する。温かい息が、煙草の臭いと混じる。黄色い目はとろりとして、どこでもない一点を見つめている…

緩やかさ

[書評]緩やかさ作者: ミランクンデラ,Milan Kundera,西永良成出版社/メーカー: 集英社発売日: 1995/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (5件) を見るこの小説が好きだ。私は、思考が挑発されるのを感じるから。(つまりは、自ら…

ジャック・ロンドン 『火を熾す』

火を熾す (柴田元幸翻訳叢書―ジャック・ロンドン)作者: ジャック・ロンドン,新井敏記,柴田元幸出版社/メーカー: スイッチ・パブリッシング発売日: 2008/10/02メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 32回この商品を含むブログ (42件) を見る 生涯を通して200本…

岩井俊二監督 『スワロウテイル』

僕が子供だったとき―80年代の終わりから90年代の初めにかけて―小学校では「未来の日本」をテーマにした絵を描かされたものだ。絵の中では、翼のある車が空を飛んでいて、華やかな空中庭園があった。後の子供たちもこんな絵を描かされたのだろうか。いや、き…

村上春樹 『約束された場所で underground 2』

約束された場所で―underground 2 (文春文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2001/07メディア: 文庫購入: 14人 クリック: 73回この商品を含むブログ (126件) を見る 宗教的理想郷の対極にある現実世界は、入り組んでいて、理不尽だ。それが…

平野啓一郎 『空白を満たしなさい』

空白を満たしなさい作者: 平野啓一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/11/27メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 17人 クリック: 600回この商品を含むブログ (62件) を見る 生きていることの掛け替えの無さが、鮮やかに描かれたすばらしい小説。 ある…

夢の話

こんな夢を見た。 山の頂で、少女が音楽を待っていた。黄昏が近かった。 頂の向こうからロープウェイが登ってきた。中では老紳士がフルートを吹く仕度をしている。少女に音楽を届けてやろうと大急ぎで銀色の楽器を組み立てている。 老紳士のフルートの調べは…

平野啓一郎 『私とは何か―「個人」から「分人」へ』

私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)作者: 平野啓一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/09/14メディア: 新書購入: 19人 クリック: 299回この商品を含むブログ (78件) を見る 通常私たちが、自身を「私」として捉える時、それは統合され…

チャールズ・ディケンズ 『クリスマス・キャロル』

クリスマス・キャロル (新潮文庫)作者: ディケンズ,村岡花子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/12/02メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る 僕は年末年始が大嫌いだった。欧米で「クリスマスが嫌い」というような偏屈…

チェーホフ 『かもめ』

かもめ (集英社文庫)作者: アントン・パーヴロヴィチチェーホフ,沼野充義出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/08/21メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (11件) を見る 何てチャーミングな戯曲だろう。 登場人物たちの叶わぬ片思いの連鎖、循…

スラヴォイ・ジジェク 『ラカンはこう読め』

ラカンはこう読め!作者: スラヴォイ・ジジェク,鈴木晶出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2008/01/30メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 216回この商品を含むブログ (84件) を見る 本書は、ラカンの難解な概念の解説書ではない。帯にあるように「入門書…