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TIME December 19, 2011 より気になった記事。

英文ニュース

 "Rain Forest for Ransom"(身代金がわりの熱帯雨林)より

 南米のエクアドル、ヤスニ国立公園は、多くの科学者によって、世界一多様な生態系を誇る地と考えられています。一方で、この地には多量の石油が埋蔵されており、石油企業は同地開発に食指を動かしています。

 こうした中、エクアドルのコリア大統領は、自然環境保全のために開発をしない見返りに、今後13年間で36億ドルの寄付を国際社会に要求しました。これは、ヤスニ国立公園に眠るとされる原油の2010年時の市場価値の半分にあたります。

 記事では、まさにわれわれが思い描くアマゾンそのもの、神の恵みとも形容されうるような、豊かで手付かずの森が讃えられている一方で、この国の不安定な政治情勢やユーロ危機も手伝って、国際社会がこの計画に対して懐疑的であることも触れられています。

 そして、記事には触れられていませんが、「手付かずの自然はかけがえのない貴重なものである」という後期資本主義の価値観は、国民の3分の1が貧困の中で暮らすような国に対しては単なるエゴイズムの押し付けと受け止められかねません。これは、素朴すぎる疑問に違いありませんが、解決に至った問題ではありませんし、避けて通ることができる問題でもありません。記事は、先進国の自然の保全に対する責任を主張して結ばれますが、その議論はしたがって、必ずしも説得的ではありません。

 ただ、ここで提起された、倫理的に困難な問題に、私自身は、頭を悩ませました。これは、「国際社会が、開発途上国が自然を保全することに金銭的な責任をもつ」ことを確認した最初のものですから、われわれがどのように判断するかは死活的に重要です。エクアドルの提案が共有され、コンセンサスにいたり、実現されるにはまだ長い道程がありそうです。

 記事の内容は、動画(英語)でも觀ることができます。


 "Feasting on Europe"(ヨーロッパをむさぼり喰う)より。

 ユーロ危機も相俟って、中国の、ヨーロッパへの海外直接投資、企業の大型買収の増加が著しく、ヨーロッパの人々が危機感を募らせています。中国からヨーロッパへの海外直接投資は、2007-10の4年間で、3倍以上になりました。(一方、同期間で、アフリカへの海外直接投資は3分の1にまで落ち込みました。) 財政問題で苦境にあるギリシャやスペインにとっては、中国からの取引が、日に日に魅力的に映るようになっている、という現実もあります。

 純粋な経済問題だけには還元できない、気懸かりな記述もありました。

 Still, many fear that the Middle Kingdom is using the euro-zone crisis as an opportunity to snap up the continent's prized assets and win big political concessions on issues like arms sales and trade--at a time when European leaders are in no position to bargain.
 (それでも、多くのヨーロッパ人は、中国が、ユーラシア大陸の貴重な資産を買い漁り、武器の販売や貿易のような事案で大きな政治的譲歩を勝ち取るべく、このユーロ危機を利用していることに恐れを抱いている。ヨーローッパ首脳が、交渉するような立場にないこの時期に。)

 Despite their wariness, European officials have diligently courted Chinese business. Chinese Premier Wen Jiabao was given royal treatment during his July visit to Britain, Germany and Hungary, and Hungarian officials blocked human-rights groups from demonstrating during his trip, even though Hungary has long provided sanctuary for Tibetan exiles. For many E.U. officials, there are simply more urgent issues than human rights, namely the potential for China's mountain of cash to ease their debt burdens.

 (ヨーロッパ政府高官は、警戒しつつも、中国ビジネスへの機嫌取りには余念がない。中国の温家宝首相は、7月のイギリス・ドイツ・ハンガリーへの歴訪で、最大級の歓待を受けた。ハンガリー高官は、人権団体が首相歴訪時にデモを行うことを妨げた。ハンガリーは長きにわたり、チベットからの亡命者を受け入れてきたのにもかかわらず、だ。それはひとえに、多くのEU高官にとって人権よりも喫緊の課題があるからだ。すなわち、中国の巨額の現金が、ヨーロッパの債務の重荷を軽減するという可能性である。)

 "In the future, when the Dalai Lama comes to Europe, the European governments will think twice about making statements about China's human rights," says Nicola Casarini, research fellow at the E.U.'s Institute for Security Studies in Paris. "China will expect from Europe a so-called friendly behavior, and that means restraining from publicly accusing them."
 (「将来、ダライラマ法王がヨーロッパに来訪されるとき、ヨーロッパの政府は、中国の人権問題に言及することに二の足を踏むでしょう」。こう話すのは、パリに拠点を置くEU安全保障研究機構の研究員、ニコラ・カサリニである。「中国は、ヨーロッパから、いわば友好的な行動を引き出そうとするでしょう。それはつまり、公式には中国を批難しない、ということですね」)

 In exchange for offers to purchase more euro-zone debt,...Chinese officials have been demanding that Europe lift the arms embargo it imposed after the 1989 Tiananmen Square massacre.
 (中国政府高官は、ユーロ債買い増しの提案と引き換えに、ヨーロッパが、1989年の天安門事件における多数の市民の虐殺を受けて中国に課した、武器の禁輸を撤回するよう要求し続けている。)