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TIME誌 Jan. 20, 2014カバー ジャネット・イエレン 16兆ドルの女性

英文ニュース

 今週のTIME誌のカバーストーリーは、第15代FRB議長になるジャネット・イエレンについての特集です。(以下リンク先)FRB創設101年目にして、初の女性議長です。

http://content.time.com/time/subscriber/article/0,33009,2162267,00.html

 現在、米国の失業率は下落傾向にあり、経済は回復傾向にあります。しかし、リーマン・ショックで危機に陥った米国経済を立て直すための量的緩和政策から、徐々に脱却する必要があり、イエレン氏には、量的緩和脱却に伴うであろうと予想される失業率の上昇と、量的緩和維持に伴うと予想されるインフレーションとの間で絶妙な舵取りが求められています。

 高校を主席で卒業し、ブラウン大学に進んだ彼女は経済学の面白さに目覚めます。大学院を過ごしたイェールでは、トービンスティグリッツなど錚々たる面々から薫陶を受けます。そして、彼女がFRBの研究職として働き出した時、「レモンの市場」の理論で知られる、夫のアカロフと出会います。

 彼女は、FRB議長としては初の、改革志向を公言するケインジアンです。それは、彼女が、金融政策はビジネスサイクルの波を和らげ、経済を強くすることができると信じているということです。小見出しに"Kitchen-table economics"(家計の経済)とあるように、彼女自身は抽象的な理論や統計を振りかざすだけでなく、また、ウォール・ストリートにおもねることなく、現場の、家計の、個々人の経済状況こそを改善することを目論んでいます。

 彼女とその夫アカロフの経済理論の功績も紹介されています。なぜ、低い賃金は必ずしも高い雇用率をもたらさないのか?賃金が下がれば、失業率は改善する、というのは、初等古典派経済学では「常識」なのですが。なぜ、失業があっても、賃金は下方硬直性を持つのか?彼女ら曰く、「良い仕事をしてもらうために、市場価値よりも高い賃金を設定する経営者がいる」。また、自身らがベビーシッターを雇った経験から、「労働市場においては人間の感情が物を言う」(「相手は、子供に遣う金を最小化することを望んでいる」と感じているベビー・シッターを誰が望むだろう?)と。イエレン氏は、比較的新しい分野である行動経済学(主体は自らの感情によって行動し、伝統的な経済学とはかなり異なる結論が得られる)の考え方もも進んで受け入れているそうです。

 1月10日には、記事でも紹介されているスタンレー・フィッシャー氏が、オバマ大統領によって、FRBの副議長に指名されました。(就任には議会上院の承認が必要。)イエレン氏のティームワークの力と、フィッシャー氏の、独創的で先見の明を持った深い経済学への造詣。もし、フィッシャー氏が就任すれば、「ドリーム・ティーム」の誕生です。

 言うまでもなく、米ドルは世界中に流通している基軸通貨です。イエレン氏が今後どのようなメッセージを発し、どのような金融政策を行っていくのか、私達は注視しています。

 英語表現

 nothing if not: =extremely
 evenhanded: 公明正大な

Yellen, who is nothing if not evenhanded, says that she is doing her very best to meet these weighty challenges--and that things are looking up for America.
(イエレンは非常に公明正大であり、自身がこれらの重い課題をこなすためにベストを尽くすと、そして、情勢はアメリカにとって好転していると述べている。)


 kitchen-table: 家庭の、家庭的な

 What comes through very clearly is Yellen's refreshing kitchen-table realism and her eagerness to question and seek the truth--wherever it might be found.
 (はっきりしたのは、イエレンの新風を吹き込むような家庭的リアリズムと、彼女の、真実を問いただし探求したいという熱意だ。真実が見つかるかどうかにかかわらず。)

 Beltway: =Washington

Through it all, Yellen--who loathes Beltway politics yet deftly allowed the drama to run its course--remained steadfast.
 (その全体を通して、イエレン―彼女はワシントンの政治を嫌悪しているが、それでも手際よく、そのドラマを滞りなく放映させておいた―は、断固としていた。)

 Sometimes nice guys do finish first: "Nice guys finish last."(正直者は馬鹿を見る)のもじり。

 the Dodd-Frank banking reforms: ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法Wikipediaのリンク参照

 pick up the pieces: 困難な事態を収拾する

 "I felt that the Fed had always been the agency that picked up the pieces when there was a financial crisis, and it was invented to do exactly that," she says. "But we never had as active a program to attempt to assess threats to financial stability as was called for."
 (「連邦準備理事会は、金融危機があったときには事態を収拾する機関であると感じてきました。そして、それはまさにそうするために設立されたのです」と彼女は言う。「しかし、実際に求められているほどには、金融の健全性への脅威を査定しようとする積極的な計画はありませんでした。」)

 Main Street:(Wall Streetと対照して)実体経済

 After all, at the end of the day, Janet Yellen, the commander in chief of the everyday economy, will judge herself not by the views of Wall Street but by the health of Main Street.
 (結局のところ、毎日の経済の司令官であるジャネット・イエレンは、自分を、ウォール・ストリートの見方ではなく、実体経済の健全さによって判断するであろう。)