幼かった時分の夏の記憶。
私は、遠くにいる母を、おうい、おういと呼んだのに
声は、母に届かず消えてしまう。
黄色い太陽の下、私は半泣きで、
声が届かぬ意味を解せなかった。
おとなになって、
私がいつも思うのは黄色い太陽。
眩しい朝日は
ばかばかしくてうっとうしい。
昼前には
天空から刺す光が
私を眠りに誘って包み込む。
そういうわけで
私は黄色い太陽に包まれて眠る。
何十年も前の夏に
私の届けられなかった声を聞いていた黄色い太陽。
声を届けられずにまごつく私を見ていた。
いまは
疲れ果てた私を温める。
もう疲れたと、私は思っている。
夜が終わって、ばかな黄色い太陽が現れ、
私はもう眠ろうと思う。
ばかで柔らかい温もりに
黄色い太陽に
包まれて
ずっとずっと
眠ろうと思っている。