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秋の木漏れ日

創作
君が僕に木漏れ日の詩を書いてと言ったとき
 
君は五月の終わりの深緑色の茂ったあおばから
 
金色の太陽がこぼれている
 
そういう風景を書いてほしいと言ったのかもしれないけれど
 
僕が書きたい木漏れ日は、秋の木漏れ日なんだ。
 
秋の木々にたゆたう葉ってさ、どれもが赤や黄色に色づいているわけではない。
 
緑も、褐色も、土色もある。
 
葉と葉の隙間は、初夏と比べて多くって、
 
地面をざくざく歩いていると
 
柔らかいというより、射るような白い光が
 
すっと降りてくる。今は黄色い葉っぱを通って。次は緑の葉っぱを通って。
 
ふうっと風が吹いて、何だかいつでも夕方になりそうで、
 
不安なのか寂しいのか分からなくって、
 
僕が言いたいのはつまり、
 
太陽は僕たちよりもずっと長生きだから
 
そして、黙々と仕事をしているから
 
君が話したいあおばにだって、毎年毎年、降り注ぎ続けるんだけど、
 
僕は、ひょっとしたらみんなと違う、
 
ちょっと変なことが言いたかった、それだけなんだよ。
 
それだけ。