Taku's Blog(翻訳・創作を中心に)

英語を教える傍ら、翻訳をしたり短篇や詩を書いたりしたのを載せています。

2013-01-01から1年間の記事一覧

緩やかさ

[書評]緩やかさ作者: ミランクンデラ,Milan Kundera,西永良成出版社/メーカー: 集英社発売日: 1995/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (5件) を見るこの小説が好きだ。私は、思考が挑発されるのを感じるから。(つまりは、自ら…

ジャック・ロンドン 『火を熾す』

火を熾す (柴田元幸翻訳叢書―ジャック・ロンドン)作者: ジャック・ロンドン,新井敏記,柴田元幸出版社/メーカー: スイッチ・パブリッシング発売日: 2008/10/02メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 32回この商品を含むブログ (42件) を見る 生涯を通して200本…

岩井俊二監督 『スワロウテイル』

僕が子供だったとき―80年代の終わりから90年代の初めにかけて―小学校では「未来の日本」をテーマにした絵を描かされたものだ。絵の中では、翼のある車が空を飛んでいて、華やかな空中庭園があった。後の子供たちもこんな絵を描かされたのだろうか。いや、き…

村上春樹 『約束された場所で underground 2』

約束された場所で―underground 2 (文春文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2001/07メディア: 文庫購入: 14人 クリック: 73回この商品を含むブログ (126件) を見る 宗教的理想郷の対極にある現実世界は、入り組んでいて、理不尽だ。それが…

平野啓一郎 『空白を満たしなさい』

空白を満たしなさい作者: 平野啓一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/11/27メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 17人 クリック: 600回この商品を含むブログ (62件) を見る 生きていることの掛け替えの無さが、鮮やかに描かれたすばらしい小説。 ある…

夢の話

こんな夢を見た。 山の頂で、少女が音楽を待っていた。黄昏が近かった。 頂の向こうからロープウェイが登ってきた。中では老紳士がフルートを吹く仕度をしている。少女に音楽を届けてやろうと大急ぎで銀色の楽器を組み立てている。 老紳士のフルートの調べは…

平野啓一郎 『私とは何か―「個人」から「分人」へ』

私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)作者: 平野啓一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/09/14メディア: 新書購入: 19人 クリック: 299回この商品を含むブログ (78件) を見る 通常私たちが、自身を「私」として捉える時、それは統合され…

チャールズ・ディケンズ 『クリスマス・キャロル』

クリスマス・キャロル (新潮文庫)作者: ディケンズ,村岡花子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/12/02メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る 僕は年末年始が大嫌いだった。欧米で「クリスマスが嫌い」というような偏屈…